大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和39(オ)1443 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告状記載の上告理由第一点ないし第五点並びに上告理由書記載の上告

理由第一点ないし第四点について。

論旨は、要するに、上告人主張の債務承認による時効中断の効力を否定して上告

人の被上告人に対する利得償還請求を排斥した原判決は、民法一四七条、一五七条、

一六七条、七〇四条、手形法八五条の解釈、適用を誤つた違法がある、というので

ある。

しかし、債務の弁済方法として約束手形が振り出された場合には、手形上の権利

が時効により消滅しても、その原因関係上の債権もまた時効により消滅したときは、

利得償還請求権が発生しないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和三

六年(オ)第一一五七号同三八年五月二一日第三小法廷判決、民集一七巻四号五六

〇頁、同三八年(オ)第四五三号同四〇年四月一三日第三小法廷判決参照)。原判

決(第一審判決理由を引用)は、右と同一の見解のもとに、本件約束手形上の権利

およびその原因関係上の債権である原判示の請負代金債権はいずれも時効により消

滅したものであつて、被上告人において右請負代金債務を承認した事実を認めうる

証拠はないから、上告人主張の利得償還請求権は発生していない旨説示している。

原審の右事実認定は、これに対応する原判決挙示の証拠関係に照らして是認しう

るところであり、その判断の過程において所論の違法はない。もし、所論のように、

前記請負代金債務につき被上告人が承認したことにより時効が完成していないとす

れば、本件手形金債権が時効により消滅しても、その原因関係上の債権が存続して

いることになるから、利得償還請求権は生じないものというべく、債務承認の点の

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所論は主張自体理由がないものといわなければならない。なお、民法七〇四条につ

いては、原審において上告人の主張しないところであるから、この点の論旨は前提

を欠くものといわなければならない。

所論は、右と異なる見解のもとに、原審が適法に行なつた証拠の取捨判断および

事実認定を非難するものであつて、採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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